1日遡って7日の夜。ティルグで訓練していたら、母さんがやってきた。

どうやら、仕事の帰りに寄ったらしい。ここに来るなんて珍しいな。

さすがに現役のティルグ員としては負けられないと思ったのだけど

意外に強くてびっくりした。なんとKO負け。

母さん、仕事命じゃなかったの？


うん。機会があれば、また手合わせしてみるのもいいかもね。

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その翌々日の朝、母さんが危篤になったという知らせを受けた。

母さんもいい年なので、いつかそんな知らせが来るだろうと覚悟はしていた。


やや働き過ぎと思われる通算実績。「仕事の鬼」とか。


年間戦績には一昨日の試合結果のみ。

誕生日に「おこづかいあげる」と言われたり、
結婚して家を出る朝も「調子はどう？」だし、結婚式でも親の挨拶をしてくれないし。
ここ最近も、会う度にいつも「調子はどう？」と聞かれるばかりだった。

あの日、珍しくティルグに来てくれたのは、きっとこのことを伝えに来たのだろう。
素直じゃない母さんらしい…。

「来てくれただけで充分」と言われたけど、僕はずっとそばについていた。


夜に集まってくれたのは、王妹のグローリアさんと、ミレーユさん。


それにペリーヌさん。

グローリアさんとの交流については僕は知らないのだけど、
ミレーユさんはロークで、ペリーヌさんはシーラで、母さんがエルグ長を務めた時に支えてくれた人。

あの日から8年とちょうど半分。

まだ子供だった僕たちを一人で育て上げた母さんは、
親しかった友人に見守られて、父さんの元へ旅立った。

誰もいなくなってしまったこの家。残されたのは、昔、僕が飾り付けた家具だけ。

一度外に出ると、「オーソン家」の表札も外されてしまった。

向かいの自宅に帰り、セイディちゃんの帰宅を待った。


彼女は何も言わずに明日の朝食を作り、


子供たちはすやすやと眠っていた。

いつもと変わらない自宅の風景。でもそれが僕の心を少し軽くしてくれた。

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翌日の葬儀には、たくさんの人が来てくれた。

母さんの交友関係の広さがうかがえる。

友人代表はペリーヌさんが。

あなたと母さんのおかげで、僕の学生時代がより波乱に満ちたものになったことは忘れられません。

最後にアレク姉ちゃんが挨拶をして、


葬儀はつつがなく終了した。

ふぅ。ちょっと休んでから、セイディちゃんとの待ち合わせに行こう。


ありがとう。今はそういってもらえるだけで、嬉しいよ。

ヴァシリーさんにも声をかけられた。

ありがとうございます。

その夜、今度はミレーユさんから試合を申し込まれた。


彼女も普段はあまりティルグに来ない人。

元気出せってことだろうか。

母さん、お疲れ様でした。父さんと、ゆっくり休んでください。


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初代PC、アルバータの最期です。
上で書いた通り、フラグ会話のない突然の危篤の知らせでした。
毎日「あの人を頼む」とお願いしてきたフランコさんとは対照的です。
「みんなのアイドル」なのにクールな母さんと、「訓練好き」だけど家族思いな父さんでした。

ロークからシーラに移ったのは「超エリート」を取りたかったからなのですが、
NPC化後にまさかまさかのシーラ・エルグ長就任。ついでに海のマスターまで取得。
実績集めに必死になっていたので結構悔しかった思い出が。
1代で取れるだけ取りたかったんですよねーｗ

仕事関係の友人つながりが非常に強く、最期の夜に集まってくれた人々を見て泣きそうになりました。
フランコさん絡みの親友を先に見送ってから逝ったのは、本妻の余裕ってやつでしょうか？ｗ
ナルル生活の内半分以上が独り身だったのか、と考えると切ないのですが、
充実した一生だったのではないかと思います。

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